●ネーミングライツとは?
「命名権」のことで、スポーツ施設や文化施設などにスポンサーの企業名や製品名などのブランド名をつけることのできる権利です。有名な施設では「味の素スタジアム」や「京セラドーム」などがあります。契約金は年間数億規模と言われています。
●渋谷区の公衆トイレ14か所でネーミングライツを導入
トイレの命名権を売るという全国初の試みについて成果と課題についてお話を伺ってきました。学校のトイレでもユニークな企業が現れて、維持管理をバックアップしてくれるようなことは実現しないものでしょうか・・・?
【お話】渋谷区土木清掃部公園課公園管理係 原田 大さん
【インタビュアー】 学校トイレ.com事務局 村上八千世
村上:公衆トイレにネーミングライツを導入しようと思ったきっかけは何ですか?
原田:公衆トイレの維持管理にはお金がかかるため、新たな財源の確保が一番の目的でした。
村上:対象となったトイレはどんなトイレですか?
原田:渋谷区が管理する公園にあるトイレ以外の公衆トイレ14か所です。そのうち2か所で辞退がありましたので、現在は12か所で契約中です。
村上:どんな企業が権利を獲得しましたか?
原田:契約先はトイレの総合メンテナンスを行っているアメニティ(横浜市)が1ヶ所、下水道施設の総合管理を行う管清工業(世田谷区)が9ヶ所、ビル管理の総合メンテナンス業を行う秀和ビルメンテナンス(中央区)が1ヶ所、森ビル(港区)が1ヶ所です。
村上:契約料はどのくらいですか?
原田:1ヶ所でだいたい年間で10~15万円です。立地もよく話題性があるので実はもう少し高く売れるのではないかと期待していたのですが、現実にはトータルで年間約170万円程度です。
14か所の公衆トイレの維持管理費に充てたいと考えていましたが、全く足りません。公衆トイレの維持管理費は年間で約3,000万円(修繕費、清掃費、光熱費など)かかっていますから。
村上:募集条件はどのような内容でしたか?
原田:実は初めての試みということもあって、特に条件らしいことは提示しませんでした。ですが、アメニティさんは尿石除去など専門的なメンテナンスを定期的に行ってくださっています。管清工業さんも年に2回ほど管の清掃をしています。
村上:ネーミングライツの導入でどんなメリットがありましたか?
原田:トイレが以前よりきれいになり、イタズラも少なくなりましたね。アメニティさんは巡回して、使用状態を細かく見てくれて、壊れたり、老朽化している部分について逐次報告してくれます。
村上:今後の課題はどんなことですか?
原田:やっぱり、もっと高く売りたいですね。それと契約条件をもっと整備するべきだと考えています。トイレの見回りや日常清掃、特別メンテナンスを行ってくれることを条件に盛り込んでおくべきだと考えています。
景気が良ければ、トイレの建て替えを条件にすることも考えるんですがね(笑)。
村上:福祉施設の指定管理者制度のように、トイレ利用を有料にしてどこかの企業に運営を一切任せるというのはどうですか?渋谷区の人出の多さを利用して。
原田:う~ん、なかなか難しいと思いますが提案してくれる企業があれば検討することはできるのではないでしょうか。
村上:最後に、今回のようなネーミングライツの導入を、学校のトイレで実現させる可能性はあると思いますか?
原田:私の個人的な意見ですが、学校のトイレは限定された人が使う場所なので、広告効果という点からは難しいのではないでしょうか。しかし企業の社会貢献ということではアピールできるかもしれませんね。
村上:学校のトイレも維持管理状況がとても厳しいので、何か新しいアイデアで財源を確保したり、企業とのコラボレーションがうまくできるとよいのですが。今日はありがとうございました。
箕面市(大阪府)で、理想的なメンテナンスシステムを導入しているといううわさを聞いてお話をうかがってきました。
古くなったトイレはどうしても尿石が蓄積し、悪臭もひどくなってしまいます。
尿石除去を年に1度か数年に1度導入している自治体も少なくないと思いますが、箕面市ではさらに一歩先を行くシステムを導入しています。
箕面市では平成13年度より尿石除去などを長期契約によって業者委託することを行ってきました。さらに今年度(平成22年度)は、新設校を除く全ての小中学校で主たるトイレの大規模改修を行いました。トイレがきれいにリニューアルされ、いつまでも快適なまま維持できるようにメンテナンスの委託方法もさらに充実しています。
長期契約と単発で都度契約するのではメンテナンスの効果にどんな違いがあるのでしょうか。
【お話】
箕面市教育委員会事務局 教育推進部学校管理課 課長 岩永幸博さん、担当主査 奈良さゆりさん
箕面市立萱野北小学校 校長 真鍋あけみさん
株式会社アメニティコスモス 瀬古浩史さん(厚生労働省認定社内検定1級トイレ診断士)
【インタビュアー】
学校トイレ.com事務局 村上八千世
※真鍋校長先生には同席していただくことができませんでしたので、後からお電話でお話をお伺いいたしました。
村上:トイレのメンテナンスを5年間という長期契約にしている理由は何ですか?
岩永課長:それはなんといってもコスト削減のためです。長期契約にしたほうが単年度や1回ごとに
契約するのと比べてコストがかからないためです。
奈良主査:それに同じ業者さんに長く関わってもらえると、学校のトイレの状況のことをよく分かってもらえます。作業だけでなくトイレ全般のことについてアドバイスしていただけるので学校現場の評判も良いです。また長期間で作業をしてもらうと、結果がはっきり出るので、次の契約のときに入札をお願いする業者さんを選ぶ基準がわかりやすくなります。
岩永課長:箕面市ではもともと平成13年度から、悪臭の原因になっている小便器の尿石除去を2
ヶ月に1回実施していました。平成20年度からはそれを毎月行うようにしました。そして今年度の
下半期からはトイレの大規模改修にあわせて、小便器と大便器の両方を対象にメンテナンスを行う
ことにしています。
村上:気になる委託金額はどの程度ですか?
奈良主査:5年間で約1600万円です。
瀬古氏:箕面市さんの場合は対象の小中学校が18校ありますから、1校あたりで考えると5年間で約90万円ということになります。これは年に1回尿石除去を集中的に行う場合と比べて、3分の1の金額です。
村上:瀬古さんの会社でそこまでコストを下げて請負える秘訣はなんですか?
瀬古氏:今回の契約では2ヶ月に1回のメンテナンスを行いますが、この頻度でメンテナンスさせていただければ、まず尿石は溜まりません。尿石除去のための時間や薬剤を大幅に削減することができるからです。それと今回の箕面市さんの場合はリニューアル後のトイレが対象であるということもコストを抑えられた大きな要因になっています。
村上:なるほど、集中的に大きなコストをかけるよりも、こまめに小さなコストをかけるほうが効率が良いということですね。しかも常に快適な状態を持続できますね。新しくなったトイレをいつまでも快適なまま維持するには理想的なシステムです。今回のメンテナンスのシステムと従来のシステムを下に図で示してみました。

村上:このようなメンテナンス方法について学校現場ではどのようにお考えですか?
真鍋校長:箕面市では基本的にトイレ掃除は子どもが行っています。子どもの掃除では小便器の目皿をはずして掃除することまでは不可能です。職員でもそこまでは手がまわりません。今回のように専門の業者さんに定期的にメンテナンスに来ていただけることは、悪臭の防止のためにも必要だと思います。
せっかくトイレがリニューアルされたので、いつまでもきれいなまま使ってゆきたいと思いますが、
こういうシステムで定期的にメンテナンスしてもらえるのは大変ありがたいことです。また同じ業者さんが繰り返し来られるので、学校のトイレの事情についてよく理解されていて、こちらからもいろいろ聞きやすいことも助かります。
瀬古氏:リニューアルされたトイレはドライ方式になったのですが、そのせいかホコリ汚れがすごいんです。今回の契約では換気扇や腰から上の部分は含まれていませんが、そういう部分もフォローしていけるとより快適なトイレにすることが出来ると思います。
それと、これは私がぜひやってみたいことなのですが、せっかく学校に長期的にうかがうことになっているので、子どもたちに日常の掃除のしかたを教えてあげたいですね。ちょっと工夫するだけでトイレ掃除が楽しくなりますし、子どもたちもやる気を持ってくれると思います。子どもたちに免状のようなものを発行したら、ますますおもしろいんじゃないかと考えているんですよ。
村上:それはぜひ実現させたいですね。子どもたちも一生懸命掃除してくれそうです。
箕面市のような徹底したメンテナンスシステムを他の自治体でもぜひ導入していただきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

それは小便器が詰まっていて、洗浄水が排水されずに便器内に溜まってしまうときです。
カンツールなどを試みても解消されない場合は異物が誤って流れて引っかかっているのではなく、排水管の内壁に尿石が蓄積して管径が細くなっているために詰まりを引き起こしている可能性があります。そんなときはひとつの小便器だけでなく隣の小便器も詰まって流れないことが多いです。

悪臭対策のために排水管の高圧洗浄を委託する学校があるのですが、これは目的違いですね。
排水管に尿石が蓄積することと、悪臭が発生することは、まったく別の問題です。
排水管から悪臭が発生しているとしたら、それは小便器そのものか、トラップの問題です。
小便器が古いと悪臭が漏れてきてしまう可能性があります(床と便器の間などから)。これは便器の構造に問題があるので、便器の取替えをしないと悪臭の問題を解決するのは難しいです。もうひとつはトラップの機能がうまく働いていない場合です。トラップカバーが割れていたりするのも原因のひとつです。問題を取り違えて、排水管の高圧洗浄を行っても悪臭の解消にはなりません。
また、排水管が老朽化しているところは、高圧洗浄を行うことで配管そのものが破損してしまうこともありますので注意してください。
原因をしっかり理解して、適切な対策をしましょう。
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